「そんなサッカーに未来はない!」(2) 過去の新リーグが示す「失敗の方程式」の画像
2019年のクラブワールドカップを制したリバプール 写真:新華社/アフロ
※第1回はこちらより

欧州スーパーリーグ構想に反対する。絶対に反対する。現代サッカーがかかえる最大の「悪」を具現化するもの、それが欧州スーパーリーグである。FIFAが計画する「24クラブによるクラブワールドカップ」も目的は同じだ。テレビやスポンサーから入ってくる巨額の資金を追いかけるばかりでは、サッカーに未来はない——。

■18クラブによる「欧州プレミアリーグ」案

 英国『ワールドサッカー』誌の2020年年末の号で、ジャーナリストのケア・ラドネッジは「早ければ2027年、遅くとも2031年には欧州スーパーリーグが誕生する。これは避けられない事態だ」と書いている。彼にこの確信をもたせたのは、10月に英国『スカイ・スポーツ』が「欧州プレミアリーグ構想」を伝えたためだったかもしれない。レアル・マドリードがアメリカのメガバンク、JPモルガンに新リーグの資金的可能性の調査を依頼したという。

 それによると、UCLを廃止し、代わって18クラブによる「欧州プレミアリーグ」を創設するという。ホームアンドアウェーの総当たりの後に優勝決定のためのノックアウト方式の試合を行う。招待されるのは、イングランド、スペイン、イタリア、フランス、ドイツのクラブだという。この提案の重要なところは、2016年にUEFAが検討した案と同様、チームは固定され、降格も昇格もないというところだ。

 そしてことし1月21日、これらのすべてをひっくり返す「声明」が発表された。FIFA、そしてその傘下の6つの地域連盟の会長名による連名の「声明」である。当然、UEFA会長アレクサンデル・チェフェリンの名も連ねられている。

「欧州スーパーリーグのような大会は、FIFAも、その傘下にある地域連盟も、けっして認めない」

「このような大会に関与したクラブもプレーヤーも、以後、FIFAやそれぞれの地域連盟が主催する大会に出場することができない」

 また、「声明」では、昇格と降格のシステムはサッカーの世界的成功をもたらすサッカー・ピラミッドの基本的な原則であり、FIFAと地域連盟の基本規定にもうたわれていると、特定クラブだけの利益を守る「参加チーム固定制」を強く非難している。

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