■攻守の軸を失った栃木だが…
オフの移籍市場から新シーズンを占う「J2のミカタ特別編」では、J2チームの補強を定期的に査定していく。第7回は昨シーズン10位の栃木SC、同12位の東京ヴェルディを取り上げる。両チームともに主力選手をJ1のクラブへ引き抜かれたが、スタイルを継続して上位進出をうかがっていく。
昨シーズンの栃木SCには、「躍進」の二文字が当てはまる。前線からのハイプレスと素早い攻守の切り替えが徹底され、15勝13分14敗で10位に食い込んだ。2019年は20位で残留していたから、大幅なランクアップを成し遂げた。
オフの移籍市場では、主力を複数人失った。経験豊富なGK塩田仁史(→浦和レッズ)、CBで主将を務めた田代雅也(→サガン鳥栖)、昨季40試合出場の左SB瀬川和樹(関東1部クリアソン新宿)、ボランチ岩間雄大(→藤枝MYFC)、チーム最多タイの7得点をあげた明本考浩(→浦和レッズ)、FW榊翔太(→AC長野パルセイロ)らがチームを離れた。左右両サイドのDFを任された溝渕雄志も、所属元のジェフユナイテッド千葉へレンタルバックしている。
ディフェンスリーダーの田代、ハイプレスのスイッチを入れていた明本の流出は、移籍市場での収支の評価を厳しくする。ただ、昨オフもMF西谷和希、MF浜下瑛(いずれも徳島ヴォルティス)、DF/MFヘニキ(レノファ山口)らを失っていた。代わって大卒1年目の明本が大黒柱となったように、田坂和昭監督は選手たちを鍛え上げ、チームのボトムアップをはかっていくに違いない。