■12月19日/J1第34節 柏―川崎(三協F柏)
土曜日らしい穏やかな空気が、JR柏駅前に広がっていた。空に広がる清々しい青さは、歩く家族連れをそれだけで幸せに見せる。時折吹く冷たい風が、歩く友達連れやカップルの距離を近づける。MF中村憲剛が現役で迎える最後のリーグ戦が行われるのは、こんな日だ。
18年間戦った等々力競技場での最終戦から、まだ3日目のゲームである。Jリーグ第33節・浦和戦は、サッカーの神様が演出したとしか思えない90分間だった。極寒の中で攻撃がうまくハマらず、PKで先制される。その後、攻めても攻めてもゴールは遠い。MF守田英正が同点弾を決めるまでの53分間は、最悪の展開しかよぎらなかった。
今思えば、出来すぎのシナリオではあった。先制されながらも逆転勝ち。しかも、最後にアシストまで決めて見せたのだから。ただ、最初の45分間の苦しさは実際のものだった。中村憲剛のサッカー人生を川崎のクラブの歴史に、どこかダブらせてしまう。
中村憲剛は、入団した2003年からの2シーズンをJ2で過ごした。J1という国内最高峰の舞台ではないとはいえ、2年間のリーグ戦で75試合9得点。すぐにチームに欠かせない存在となった。
ホーム最終戦の等々力競技場で販売された「川崎フロンターレ オフィシャルマッチデープログラム」に、中村と鬼木達監督の対談が掲載されている。中村の希望で対談相手となった鬼木監督とは、2002年からのつきあいだという。2003年の入団前に、中村が練習したときからのつきあいだという。