■めざましい成長を続けた先は――
こうして、本来のボール奪取能力に加えて、中盤での展開力や攻撃力も持った藤田譲瑠チマ。
おそらく、来シーズンにはさらにステップアップするであろうことは間違いない。
J1クラブからのオファーはいくらでもあるだろうし、一部の報道ではすでにヨーロッパでも注目されているということで、一気にヨーロッパ移籍といったこともあるかもしれない。
代表での活躍も期待したい。
AFCU-19選手権は延期され、影山雅永監督のU-19日本代表はゲームができず、数度の合宿を繰り返している(ちょうど現在も合宿の最中だ)。藤田はこの合宿には毎回のように招集されており、来年に延期されたU-19選手権とその先のU-20ワールドカップでもMFとしての活躍が期待される。
しかし、今シーズンのプレーぶりを見ていると、飛び級でさらに上のカテゴリーであるU-24代表、つまり東京オリンピックに出場することも十分に考えられる。
オリンピック・チームではキャプテンの中山雄太がボランチで守備能力を発揮してきた。だが、中山は所属チームのズヴォレ(オランダ)では最近はサイドバックとしてプレーすることが多くなり、10月のA代表のコートジボワール戦でもサイドバックで起用されていた。もし、藤田がボランチに入れば、オリンピック・チームでも中山をサイドバックで使うことができる。
U-19代表の影山監督としては、「また、主力が上のカテゴリーに抜かれてしまうのか。勘弁してよ~」とグチも言いたくなるだろうが、能力のある選手を上のカテゴリーでプレーさせるのは当然のこと。2022年には20歳になっている藤田が今シーズンのように成長を続けていったとすれば、カタール・ワールドカップ出場だって夢物語ではないかもしれない。
そのボール奪取能力を生かして、将来はクロード・マケレレやエンゴロ・カンテのような選手になっていくのか、あるいは攻撃的なセンスが評価されて2列目の選手として成長していくのか……。楽しみな若者が、また一人現われたものである。