■J2の“新人王最有力候補”藤田譲瑠チマ
J1昇格争いは徳島、福岡、長崎に絞られた。今シーズンは3位から6位が出場するプレーオフがなく、J3への降格もない。ここから先は、明確な目標を持てないチームが出てくる。
だからといって、3チームの絡まないカードを消化試合と決めつけるのは早い。
来シーズンのJ1は20チームで争われるため、これまでより消化試合数が増える。東京オリンピック開催も想定すると、今シーズンのような過密日程が予想される。どのチームも選手層を厚くしておきたい、と考えるに違いない。J2で活躍の目立った選手には、獲得のオファーが届くことが予想される。
どのチームも注目を寄せるタレントは、藤田譲瑠チマだろう。
東京ヴェルディに所属するこの18歳は、中盤のアンカーポジションで際立った存在感を発揮している。シーズン序盤はボール奪取力と活動量でチームを支えていたが、試合を重ねるごとにオフェンス面での貢献度を上げているのだ。奪ったボールをテンポ良く味方選手に付けるだけでなく、相手守備陣の急所を刺すようなタテパスを通し、自らゴール前へ飛び出していくのだ。
徳島と対戦した今節は、43分に自身2点目をゲットした。自陣でパスカットすると最前線の端戸仁にボールをあずけ、そのまま飛び出していく。トップスピードでスプリントしたままリターンパスを受け、ペナルティエリア内から右足で左サイドネットを揺らしたのだった。
ディフェンス面でハードワークしながら攻撃にも関わっていくその姿は、井手口陽介(ガンバ大阪)に重なるところがある。J2に新人王のタイトルはないが、彼こそはもっとも輝いている若手選手と言っていい。ここまでの成長具合を見れば、残り10試合でさらにレベルアップしていくだろう。