前半から札幌に幾度もチャンスを作られ、後半アタマに2枚の交代カードを切って打開を図るも、逆に2失点してしまった川崎。スコアもだが、それ以上に、川崎らしさというものが90分間を通して見られない、珍しい試合だった。
その要因の一つが、いつもと違って「前からの守備」に行けなかったこと。試合中、鬼木達監督は何度も「行け、行け!」と指示を出し、ハーフタイムにも「怖がらずに守備に行こう」と声を掛けたが、それでも、行けなかったのはなぜか。札幌が中盤で優位に立つことで、前に行ってバランスを崩してしまう恐れがあったからではないか。
では、札幌はどのようにして中盤で優位性を保ったのか。
まず一つ目が、札幌がマンツーマンを施したことだ。人とボールが連続して動く川崎に対し、誰が誰につくのかをミハイロ・ペトロビッチ監督は明確にした。