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11月17日にオーストリアでメキシコ代表との親善試合が決定した。「海外組」による日本代表となるだろう。10月の2試合同様、もう1試合も計画されている。日本サッカ―協会の仕事ぶりがめざましい。代表強化は、この4試合で着実に進むだろう。一方、過密スケジュールが続くJリーグでも、「国内組」の選手たちの進境が著しい。このパワーを取り込むための「国内組」日本代表合宿が必要なのではないだろうか。
■円熟の左サイドバック、酒井高徳(ヴィッセル神戸)
同じく手薄さを感じた左サイドバックの候補もJリーグの中で見出せそうだ。
左サイドバックはこれまで長友佑都が君臨していたポジションだが、ユトレヒトの親善試合では長友は体調不良のために招集を辞退。移籍したマルセイユでもレギュラーの座を獲得できていないだけに、長友の今後もどうなるのか見通しがきかない。そして、カメルーン戦では安西幸輝が、コートジボワール戦では中山雄太がそれぞれ左SBを務めていたが、どちらも決定的な仕事はできなかった。CFと並んで“代役”探しを急がなければならないポジションだ。
このポジションについては、“即戦力”と見なすことができるベテラン2人がJリーグでプレーしている。
1人はヴィッセル神戸の酒井高徳。かつては代表に招集され続けていた酒井だが、ロシア・ワールドカップを終えて「代表引退」を表明している。だが、最近の神戸でのプレーぶりはまさに“円熟の境地”ともいえるものだ。
左サイドで常に的確なポジションを取って守備は万全なうえに、攻撃ではアンドレス・イニエスタと息の合ったコンビネーションで自らドリブルで突破したり、周囲の選手を使ったりと、常に主導権を取ってプレーしている。ハンブルガーSV時代には度重なる監督交代を経験。
各監督の要求をしっかりこなしながら複数ポジションをこなして経験値を上げている。代表復帰をぜひ期待したい
■ユーティリティーな佐々木翔(サンフレッチェ広島)
もう1人の“即戦力”候補はサンフレッチェ広島の佐々木翔だ。佐々木は、森保監督が代表に就任してからはこれまで何度も代表に招集されている。もともと森保監督の下で広島が3度目の優勝を遂げた時の選手だっただけに、森保監督としては信頼して起用できる選手の1人であろう。
そして、今シーズン、佐々木は守備面でさらに安定性を増している。相手の攻撃をしっかり読み切って的確なポジション取りを取れるため、余裕をもって前を向いてボールを奪うことができるのだ。3バックの一角もこなせるし、4バックの左SBもこなせるので、これから4バックと3バックの併用を目指す日本代表では必要な選手ということができよう。
「ベテラン」という印象が強い2人だが、佐々木が31歳、酒井高は29歳と、まだまだまだ年齢的にもまったく問題ない。
さらに、Jリーグには若手の左SB候補として初瀬亮(神戸)、杉岡大暉(鹿島)、鈴木冬一(湘南)といった元気のよい若手選手たちがおり、オリンピック・チーム入りを狙っている。
以上のように、ユトレヒトの2試合でいささか手薄に見えたCFと左SBのポジションについては、Jリーグ組の中から選手を組み入れるべきであることは間違いなさそうだ。