槙野は2018年ワールドカップ・ロシア大会の日本代表で、昨年6月の代表活動期間にケガで離脱するまで、日本代表の常連だった。浦和では3バック、日本代表では4バックというなか、日本代表ではセンターバックとして38試合に出場し、そのマークの厳しさには定評があった。その槙野が、カメルーン戦、コートジボワール戦で見せた吉田麻也と冨安健洋のプレーに触発され、「自分にもDFとして彼らに負けない力がある」ということを思ったとき、その晩の相手が現在Jリーグで最も危険な男であり、欧州のトップリーグへの移籍もうわさされるオルンガだったのは、槙野の強運だったかもしれない。そして槙野は、自らのプレーで見事それを証明した。
今回の日本代表は、全員が欧州のクラブでプレーする選手たちだった。昨年までも、チームの半数以上が「欧州組」で、ワールドカップ予選の先発メンバーを見ればJリーグの選手は1人か2人だったので、全員が「欧州組」でもおかしくないと思った人も多かっただろう。「日本も欧州の選手だけで代表がつくれるようになったのか」と、感慨を込めて話した人も少なくなかった。
しかし私は、2つの試合を見ながら、「これは現在の日本のベストチームではない」という思いが消えなかった。いくつかのポジションの選手は所属クラブでのプレー時間が短く、コンディション不足というより、「試合勘がさびている」という印象だった。たとえばボランチの柴崎岳(レガネス=28歳)がミスをしたときには、「大島(僚太=川崎)ならあんなところでボールは奪われない」と感じた。