久しぶりに見る日本代表の2試合には緊張感がみなぎっていた。コンディションがいまいちの選手もいたし、プレーに迷いがあるFWも、試合勘が鈍っていそうなMFもいた。最後の最後、180分を戦った末の追加タイムの劇的ゴールが、国家代表戦ならではのカタルシスをもたらした。そして、同日の夜、J1の試合があった。今年のJリーグは面白い内容のゲームがとても多い。今節も充実した試合がいくつもあった。ヨーロッパを主戦場とする選手たちにプラスして、Jリーガーを日本代表で見てみたい気持ちが高まった。
■槙野智章が見せた意地のディフェンス
日本代表が未明にオランダのユトレヒトでコートジボワールに1-0で勝った10月14日の晩、私はJ1の柏レイソル対浦和レッズを取材した。柏はエースのケニア代表FWオルンガが絶好調で、このところ3試合で5得点。シーズン通算を21得点としてランキングの首位を独走している。このオルンガをどう止めるかが、この夜の浦和の重要な課題だった。
そして試合は1-1の引き分けに終わったものの、浦和は柏自慢の攻撃陣をよく抑え、オルンガには得点を許さなかった。試合の多くの時間で、オルンガとぶつかり、ほぼ抑えきることに成功したのは、浦和DF槙野智章(33歳)だった。自分より10センチ以上背が高いうえに強烈な身体能力をもったオルンガを相手にヘディングでもほとんど負けず、大きな切り返しにも粘り強くついて、最後はオルンガがパスを選択するといったシーンがこの試合ではたくさんあった。その槙野のプレーに、私は「日本代表」への強烈な思いを感じた。