■世界一厳しかった東京都社会人リーグ

 ストッキングは選手が着用を義務付けられた用具のひとつであり、「ユニホーム」の一部であるから、色もデザインもチームで統一されていなければならない。日本サッカー協会の「ユニホーム規定」の第2条に、「ユニフォームとは、シャツ、ショーツ及びソックスの3点を総称したものをいう」とある。

 いまはどうか知らないが、東京都の社会人リーグは、日本、いや世界で最もユニホームにうるさいリーグだったかもしれない。ある試合で、上から下まで真っ白なユニホームで試合に臨もうとしたチームが止められた。選手のひとりのストッキングの「メーカーロゴ」が違うという。他の選手のストッキングには、小さな「adidas」のロゴがあった。しかしその選手のストッキングには小さく「puma」とついていた。色はともに黒だった。両方とも、何のラインもない真っ白なストッキングである。レフェリングに影響はない。それでも、運営役員は「チームと同一のものに代えなければ、出場できない」と言い張った。これはどうなのだろう。

 私がサッカーを始めた1960年代、ストッキングといえば太い毛糸で編んだものだった。足先まではなく、くるぶしの下で細くなって足先とかかとが出るようになっており、靴下をはいてから足裏に引っかけるようにしてはいた。毛糸のニットなので、セーターのそでの部分を足につけていると考えてもらえばよい。分厚く、当然、走れば落ちてくる。それを防ぐため、幅広のゴムひもにマジックテープを付けたものも発売されたが、私は細い弾性包帯を巻いて縛った。

 1970年代になって、ポリエステルなど化学繊維を用い、薄く、伸縮性のある素材で編んだストッキングが登場し、走ってもずり落ちなくなった、しかし私は、そうしたストッキングをはくときも、細い弾性包帯を使っていた。試合に向け、なんとなく気が引き締まる気がしたのだ。

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