■女子サッカーのさらなる発展のために

 実際、今シーズンのなでしこリーグでは、この原稿でも触れたように、C大阪堺やノジマのように戦術的サッカーで上位チームを苦しめるようなチームが出現している。男子のJリーグでの指導経験のある監督が指導することによって、試合内容も変わってきたような気もする。

 男子のプロリーグ「Jリーグ」が発足した1990年代の初め、日本の社会にはサッカーに対する理解が欠けていた。だが、男子サッカーのプロ化の成功によって、今ではサッカーは日本の国民的スポーツの一つとなっており、多くの人がサッカーというスポーツのことを知っている。しかも、2011年のワールドカップ優勝によって、女子サッカーはすでに社会的認知を受けている。

 そして、競技レベルの向上やクラブ経営、チーム運営のノウハウについてJリーグでの四半世紀にわたる経験を生かすことができる。男子でのトップクラスの監督による指導などは、その最たるものだ。

 1990年、91年頃、「男子サッカーのプロ化が成功するか?」と問われたら、多くの人が疑問に思ったはずだ。Jリーグが、あれほどの成功を遂げるとは、当事者たちですら想像していなかったことだろう。その当時の状況と比較すれば、「WEリーグ」には有利な条件がいくらでもあるのだ。

 そして、もしプロ化が成功し、今の若い選手たちの才能を十分に花開かせることができさえすれば、日本の女子サッカーが今後も世界のトップの一角を占めていくことは十分に可能なことなのである。

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