Jリーグ試合前のボール準備の儀式

 0.9気圧というのはかなり固い感じがする。地面に置いて2つの親指で押すと、ほんの少しへこむ程度だ。しかし足でボールをけってみると、心地良い反発力が伝わってくる。ある選手は、手で正確に0.9気圧を測ることができると自認している。他の選手が「これでどうか」というぐらいに空気を入れたボールをちょんちょんと押して「あと(空気入れを)3押し」などと言う。言われた選手が3回押しした後に空気圧計で測ると、ほとんど誤差なく0.9気圧になっている。

 Jリーグでは、1.0気圧に統一されているという。男子のプロ選手はパワーが違う。ボールの反発力は固さに応じて強くなる。1.0というと、普通の人なら芯があるように感じるかもしれないが、Jリーグの選手ならスピードのあるパスやシュートをけることができるので、適切なのだろう。

 Jリーグの試合球はホームチームが用意する。もちろん、規定の「1.0気圧」に入れて、試合当日に審判団に渡す。試合前に最終チェックをするのは審判団だ。かつてのように使用球と予備球の2個だけだったらチェックもあっという間だったが、マルチボール時代の今日、7個のボールに1個1個空気圧計をさしこんでチェックするのは、けっこう大変な仕事だ。ごくたまに、試合中にボールの甘さに気づいた選手が主審にアピールし、主審はその場で押してみて甘いと第4審判に投げて交換を要求する。当然、7個以外に用意されている予備球と交換されるのだ。

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