■大騒動に気づかぬままホテルでリラックス
また、中国代表の試合以外はあまり入場券が売れませんから、学校や工場、人民解放軍などから学生や労働者や兵士が大量に動員されてスタンドを埋めるわけですが、彼らはサッカー自体にはあまり興味がありません。彼らにとっては「反日ブーイング」こそが大きな(唯一の)楽しみになっているわけです。
さて、決勝戦ではジーコ監督の日本代表が3対1で勝利してアジアカップ連覇を決めましたが、中国の観衆はそれに我慢ができずに周囲の街で大暴れを始めたようです。日本の外交官が乗った乗用車が襲われたというニュースもありました。日本人サポーターは、かなり長い時間スタジアムから出られなかったそうです。
そういうニュースは、僕はみんな翌朝になってから知りました。僕自身はメインスタンドの外にある建物で記者会見に出席してから、暢気な顔をしてぶらぶらとホテルまで歩いて帰ってシャワーを浴び、ビールを飲んで寛いでいたんです。なにしろ、ホテルはすぐそばでしたから……。