2004年のアジアカップ、玉田圭司のゴールで4対3と激戦の末に準決勝でバーレーンに勝利した日本代表とサポーター、そして、もちろん後藤さんも、勇躍と決勝の地・北京に乗り込んだ。ところが決勝戦のあと、後藤さんは騒然とする周囲とはまったく隔絶された、優雅な時間を過ごすことになったのだった。
■ 反日の中国人が大暴れ
さて、2004年のアジアカップ話の続きです。
済南行きの飛行機が欠航になってしまいましたが、咄嗟の判断で北京空港で車をチャーターしたおかげで、無事に準決勝の日本対バーレーン戦を観戦。連覇を懸けた決勝戦の相手は開催国の中国に決まりました。
日本チームは各会場で反日ブーイングの対象になっていましたから、開催国である中国との決勝もいろいろな意味で盛り上がりそうです。やはり、サッカー観戦の旅において“アウェー感”というのは最高のスパイスですよね。
「反日ブーイング」というのは様々な要因が絡み合って発生したものです。もちろん、中国にはもともと強い反日意識があり、小泉純一郎首相の靖国神社参拝という国民感情を逆なでするようなニュースもそれに油を注ぎました。
一方で、中国の庶民は政府や共産党に対しても不満を抱いています。だからと言って「反国家」、「反党」で声を上げれば厳しく罰せられますから、彼らは「反日」を隠れ蓑にして不満を表明するわけです。
中国のテレビ中継は、「生放送」と銘打っていても実際には30秒から1分ほど遅れて放送しています。スタンドで何か騒ぎが起こればすぐに中継を打ち切ることができるからです(独裁国家ではよくあることです)。スタジアム内でも反政府的な声が上がると、すぐに録音された「歓声」が大音量で流されて「声」が聞こえないようにしてしまいます。