■5戦4発!畑潤基の「恩返し弾」
それでも、自分たちで試合を動かせるからこそ、今シーズンの長崎は首位に立っている。後半開始直後の51分、大宮のゴールをこじ開けた。
ボランチの秋野央樹が入れたタテパスを、大宮の守備陣があいまいに処理すると、すかさず反応した亀川がゴール前の畑潤基へつなぐ。ペナルティエリア手前でパスを受けた背番号29は、スライディングしてきた相手ボランチより一瞬早く右足を振り抜き、豪快にゴールネットを揺らした。
畑にとっては恩返し弾だった。大宮の高木琢也監督は、17年のプロ入り当時に長崎を率いていたのである。
「ゴールを取って恩返しじゃないですけど、そういう気持ちでまず試合に入りました。得点はあのタイミングでインパクトも完璧にできて、インパクトした瞬間に入るなと思いました」
11節の群馬戦でシーズン初得点を決めてから、畑は5試合で4得点と調子をあげている。新加入で3得点をあげている富樫敬真が離脱しているなかで、チームトップの得点を記録しているのだ。昨シーズンは23試合出場で2得点に終わった26歳の目覚めは、長崎にとって心強い限りだろう。
畑の得点は決勝弾となり、長崎は1対0の勝利を飾る。思惑どおりに連戦のアタマを取った手倉森監督は、「ゲームコントロールの効いた試合をしてくれた。(昇格の)ライバル相手に派手な勝ち方は全然求めていない。下がピッタリくっついてきているので、目の前の敵に対して手も気も抜かない。次からのアウェイ3連戦を取ることでまた、ワンランク上の自信という境地が見えてくる。ぜひその景色を見に行きたい」と、選手の頑張りを讃えつつもすぐに次節を見据えた。