■データを覆して首位・長崎が大宮に勝利
好調なチームには、過去のデータも関係ない。
V・ファーレン長崎はこれまで、大宮アルディージャに勝ったことがなかった。手倉森誠監督の就任1年目だった昨年も、ホームで0対1、アウェイで0対3と連敗している。通算では4連敗を喫していた。
それがどうだろう。
8月29日に行われた一戦で、長崎は大宮から初めての勝利をつかんだ。
29日、30日開催の15節から、J2リーグは再び5連戦となる。長崎は前回の5連戦の1試合目でシーズン初黒星を喫し、最終的に3勝2敗とどうにか白星を先行させた。初戦で出ばなを挫かれたことで、勢いに乗り切れなかったのだった。
中2日または中3日の連戦では、リカバリー中心の日々が続く。戦術的な修正をする時間の確保は難しい。しかも、長崎は次節から新潟、金沢、甲府とのアウェイ3連戦を控えている。地元へ戻れないロードとなる。
それだけに、手倉森監督は「連戦は初戦が大事」と言葉に力を込めていた。「2度目の5連戦はアタマ(初戦)を取ることが大事だ。今日は何が何でも取っていこう」と話して、選手を送り出した。
前半は固い展開となった。決定機と呼べるものは、右サイドバックの毎熊晟矢のクロスを、左サイドバックの亀川諒史がヘディングで合わせた25分の場面ぐらいだった。
攻撃時は3-4-2-1、守備時は4-4-2とシステムを可変させる大宮の狙いは想定内だが、手倉森監督によれば「ボールを動かすリズムにエンジンがかかるまで、時間がかかってしまった」という展開だった。「ミーティングで順位は首位と9位の対戦だけれど、間違いなく昇格争いのライバルだという話をして、十分に警戒して試合に入らなければいけないという、その心理で堅くゲームに入ってしまった」と指揮官は振り返った。チームの機能性ではなく警戒心を高めたメンタルが、慎重な試合運びにつながっていたのだった。