――今年のJリーグは新型コロナウイルスの影響を大きく受けていますが、まず、昨年からの経緯も含めて、Jリーグへのご意見を聞かせてください。
杉山 僕は、横浜F・マリノスが去年勝って良かったと思うよ。面白かったからというと変だけど。僕は本当に、どこもファンなんかいないわけ。一切ない。これはプロ野球でもそうで、海外もない。まあ、昔、バルセロナを見たとき、これは違うぞっていうのはあったんだけど。本当ないんですよ。日本代表に対してもそうなのかもしれないんだけど、自分でいうのもなんだけど、フラット系なんですよ。
戸塚 杉山さんはフラット系ですね。
杉山 良いものは良いんですよ。ほとんど思い込みがないんですよ。どのクラブに対しても。
戸塚 ある意味では不幸だと思うけど(笑)。
杉山 いや、でもね、それは人それそれが決めるもので。それが正しいっていう人もいるし、だからよくサッカーの入り方としてどっかのチームのファンになったら良い、そこで応援するのがサッカーを楽しめますよって言い方する人いるじゃないですか。僕はまったく違う。そんなことしたらつまらなくなっちゃうじゃんっていう思いがあって。
だから、かつては外国に住みたいなって思った時期もあったけど、たとえば金子(達仁)はそうだったかもしれないけど、バルセロナに住んだとしたらさ、バルセロナが好きになっちゃうんだよ。間違いなく。そうすると、頭がバルセロナになっちゃうわけ。これが嫌でさ。やっぱり、バルサが好きでもいいけど、先シーズンのバルサはよかったけど、今シーズンはどうなのって疑いが必要なの。でもそこにいると、段々愛が芽生えてきちゃって。だから、僕はそういう意味において、日本代表もそういう気がする。
戸塚 でも、僕、杉山さんが言ってること良く分かるんだけど、愛があると、つまらない試合も楽しく見られるんですよ。
杉山 分かる、分かる。
戸塚 それは非常に救われるよね。このチームが好きだって見てれば、好きだから、つまらない試合とか、戦術的に幼稚なサッカーだとしても、思いを持って見れるから(笑)。そういうことなんです。
杉山 話を戻すと、昨年優勝したマリノスは、別にマリノスとか特段好きだったわけでもないけど、良く映ってきたものが、結果が出た感じだったんですよ。それで今、昨年のマリノスに影響されてるチームが多く見える。だから、今シーズンはなんとなく、横浜F・マリノス系サッカーが流行るんじゃないかっていうふうに、僕は思ってる。
――ボールを持って攻めるチームが増える?
杉山 まあ、前よりね。前のJリーグは、現サッカー日本代表監督の森保一さんのサッカーじゃないけど、世界的なリーグに比べたらちょっと重めな3バックが多かったんですよ。軽めの3バックっていうのもあるんですが、森保さんのはどちらかっていうと重めの3バック。世の中には色んな3バックあるけど、もうちょっとアタッキングな3バックもあるんですよ。そこの解釈っていうのは、すごい微妙だけどね。まあ、それと対照的とまではいわないけど、そうした重い3バックが占める割合が世界的なリーグに見て多かったんですよ。ちょっとうしろっぽい5バックになりやすい。特にJ2なんかも。
でもこれ本当に微妙な問題で、たとえば5-4-1とかって戦術。これ守備的なのかどうなのかって非常に微妙。5-4-1って、実際には5-4-1になかなかならないから。両サイド、5も4もいて、そしたら意外に余裕あるんですよ。実は3-4-3になりやすいんですよ。そうなると、全然話は変わってくるし……といった細かい話はおいておいて(笑)、なんとなくマリノスの影響力が今年は強いと思う。
――横浜F・マリノスが攻めるサッカーで優勝したのが大きい?
杉山 そうですね。Jリーグの他のチームが、どちらかというとそっち方向の方が訴求力があるんじゃないかということに気がついたんじゃないかな。
日本、Jリーグにおいて、布陣とか、サッカーのスタイルって流行なんですよ。でもそれは世界的に見てもそう。ひとつそうした魅力があるチームが出ると、一気に流れていくんですよ。マリノスの4-3-3なんていうのは特に、昔はバルセロナとオランダぐらいしかやってなかった。それがあるとき、やっぱりバルサが、2005―06年に2回目のチャンピオンズリーグとったぐらいから、4-3-3が世界的にワーっと出てきたんですよ。やっぱね、そういう流れっていうのがあって。まあ、まだJリーグは1試合しかやってないからわからないですが。でもやはり、あの横浜F・マリノスの影響力はバカにできないなって、勝手にプラス思考で思っています。