■「一発狙い」からの脱却。頭を動かし続けるゲームメイク
第4節の東京V戦では、柴崎はマテウス・ブエノとドイス・ボランチ(ポルトガル語で、2枚のボランチ、ダブルボランチのこと)を組んだ。第1節、第2節では、柴崎はベンチスタートでマテウス・ブエノと交代でピッチに立ったから、彼とコンビを組むのは前節のアビスパ福岡戦に次いでこれが2試合目だった。
だが、柴崎とマテウス・ブエノの関係性は極めて良好だった。
かつての柴崎は一発のスルーパスに命を懸けているような選手だった。
青森山田高校時代から天才視され、当時はある意味で守備の負担は免除される王様扱いだった。スペースを見出す天才的な眼を生かすことがチームのためになると考えられたのだろう。そして、プロ入りしてからも守備は苦手と思われたし、日本代表でも守備面で問題ありとの批判を再三受けることになった。
ロシア・ワールドカップではベルギー戦で持ち前のスルーパスから原口元気の先制ゴールを生み出すなど称賛される場面も多かったが、守備の弱さは常に指摘され続けた。
だが、2023年に鹿島に復帰してからは、柴崎は次第にプレースタイルを変えて、守備面でもハードワークできる選手に変わっていった。
今の柴崎は、もちろん中盤でハードタックルでボールを奪うようなプレーはしないが、常にポジションを微調整して相手のスペースを消すことで守備面でも貢献しているし、味方がボールを持った場面では丹念に動き直しを続けてパスを引き出せるポジションを取って、攻撃の起点をつくる。
パスを受けてボールを持った場面でも、昔のように一発のスルーパスを狙うだけではなく、短いパスを出し入れしてポゼッションの時間をつくったり、自らボールを持っていわゆるタメをつくって、味方に攻撃のための態勢をつくらせる。
とにかく、90分間、頭を動かし続けてプレーしているのがよく分かるのだ。
だから、最終ラインの選手たちも奪ったボールを必ずと言っていいほど柴崎に預けるし、マテウス・ブエノは柴崎とのパス交換ができるようなポジション取りをして全面的に柴崎に協力する。
そのあたりは、かつての遠藤保仁のプレーによく似ているかもしれない。短い、ゆっくりとしたパスを交換しながら、局面の打開を狙っているのだ。全力疾走はしないけれども、常にポジション取りを考えて足を(そして、頭を)動かし続けている。

































