GKの進化で「1試合平均の得点は過去最少の2.4点」、日本代表の実力を発揮した守護神たち【2025年Jリーグの意外な鍵は「GK固定率」】(3)の画像
フル代表にも選ばれたピサロアレクサンドレ幸冬堀尾の年代別ワールドカップ出場のための離脱が、名古屋グランパスには痛手となった。撮影/原壮史(Sony α1使用)

 サッカーで一番盛り上がるのはゴールシーンであり、点を取る選手にスポットライトが当たりがちだ。だが、今季のJリーグMVPは得点を防ぐGKだった。サッカージャーナリスト大住良之が深掘りすると、強いチームとGKの切っても切れない関係が浮かび上がってきた。

日本代表の実力を証明

 ともに今季フルタイム出場でチームを支えた4位サンフレッチェ広島大迫敬介と5位ヴィッセル神戸前川黛也は2人とも日本代表歴があり、「エリートGK」と言っていい。前川は父・和也も日本代表で1992年のアジアカップ初優勝時の「優勝GK」。大迫は日本代表でも鈴木彩艶(パルマ)とポジションを争う実力派として知られ、Jリーグを代表するGKと言っていい。日本代表がアウェーでドイツ代表に4-1で勝った試合(2023年)では、大迫がゴールを守っている。

 6位FC町田ゼルビアでは、谷晃生が安定感のあるGKとして大きく成長した。日本代表の座を大迫と争っていた谷だが、今年のパフォーマンスならば代表に呼び戻されても不思議はない。7位浦和レッズ西川周作は、1986年6月18日生まれ、今季のJ1のレギュラークラスのGKでは最年長だが、2022年から指導を受けたスペイン人GKコーチ・ジョアン・ミレッの下で大きく成長し、まったく衰えは見えない。

 8位川崎フロンターレでは昨年町田から期限付き移籍し、今季は完全移籍となった山口瑠伊が昨年までのレギュラーだった鄭成龍(チョン・ソンリョン)を押しのけ、シーズンを通じてゴールを守った。フランス人を父に持つ山口は、FC東京のアカデミーで育ち、フランスとスペインのクラブで経験を積んだ後にJ2の水戸ホーリーホックに移籍、昨年は町田に所属した。

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4