■GKの進化の証明

 全般的に見れば、今季のJリーグは、GKのレベルが一段と高くなった印象がある。ゴールキックからのビルドアップに加わるなど、10年前と比較すると攻撃面のタスクが格段に増えている現代のGKだが、そうした「足元」の技術だけでなく、「本職」のゴールを守るシーンでも、早川友基で見るように、高いレベルで基本どおりのプレーが実行されるようになっているのだ。

 今季全380試合で生まれた得点は911。1試合平均2.397は、J1リーグでは過去最少である。昨年は合計1013点、1試合平均2.666点だったから、大幅な減少と言える。その背景は単純ではなく、3バックの増加、ポゼッションスタイルの減少など、さまざまな要因が考えられるが、「GKの進化」も無視することのできない要素だったはずだ。

 2025年のJリーグにおいてGKがいかに大きな要素であったか―。そして、そのシーズンの年間最優秀選手が鹿島アントラーズGK早川友基であったことの必然性を、あらためて思うのである。

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