■不遇の35歳も開花

 流れるようなパスサッカーで2位を占め、高い評価を受けた柏レイソルでは、早川と同様フルタイム出場の小島亨介が見事なプレーで躍進を支えた。小島は名古屋グランパスのアカデミーから早稲田大学を経て2019年に大分トリニータ(当時J1)でプロとしてスタート、翌年にJ2の新潟に移籍してJ1昇格とルヴァンカップ準優勝などに貢献、2025年に柏に移籍した。パスを受けてのビルドアップの能力の高さはリカルド・ロドリゲス監督のサッカーに不可欠な要素だったが、シュートストップでも水際立ったところを見せた。

 3位の京都を支えた太田岳志は「エリート」からはほど遠い。1990年12月26日生まれ、35歳。190センチ、80キロと体格に恵まれているが、過去12シーズンのプロ生活は「サブGK」の状況から脱出できなかった。三重県桑名市出身、同県の暁高校を経て大阪学院大に進み、2013年にFC岐阜(当時J2)でプロになったが、ポジションを得ることはできず、東京ヴェルディ(J2)、カターレ富山(J3)と渡り歩いて2020年に当時J2の京都に移籍。2024年に韓国代表GK具聖潤(ク・ソンユン)とポジションを争って14試合に出場すると、今季は開幕からレギュラーを任せられ、34歳にして初めてフルシーズンを戦い抜いた。ポジションを失った具聖潤は7月に韓国のクラブに移籍した。

 ゴール前の安定感は抜群。京都はセンターバックに171センチの宮本優太を起用するなど、守備陣は「高さ」があるとは言えなかったが、クロスに無類の強さを発揮する太田が非常にうまくカバーした。

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