■黒田監督に「期待したい」決勝戦
地上波放送がある(しかも、NHK総合の全国放送で)天皇杯の試合は、新規のサッカー・ファンを増やすための最高の機会だったはずだ。だが、サッカー界は、そのせっかくの機会を逃がしてしまった。
11月22日土曜日の午後には、天皇杯の決勝戦が開催される。そして、この試合ももちろんNHK総合テレビで実況中継が行われる。「決勝」という看板があるのだから、「準決勝」以上に多くの視聴者がテレビ観戦することだろう。
もちろん、決勝戦はふだんのリーグ戦以上に勝負が重要な試合となる。「優勝」と「準優勝」では大きな違いがある。
しかし、だからと言って守備を固めてカウンターだけを狙うような試合をしたり、ロングスローだけに頼った試合はしないでもらいたい。準決勝の試合後、林幸多郎の起用に関して黒田監督は「ロングスローが相手に脅威を与える」と繰り返していたが、林はロングスローだけでなく、あんな洒落たループシュートを決める技術も持っているのだから……。
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「結果がすべての高校サッカー」と書いた。高校サッカーで全国大会に出場して上位に進出することは高等学校にとっては絶好の宣伝であり、それだけ受験生も増えて経営が好転する。少子化が進むこれから、私立学校が生き残るためにはスポーツ強化は非常に重要な意味を持っている。
だから、高校サッカーの指導者には勝利が求められる。そのために、学校法人は指導者と契約しているのだ。そこで、「内容よりも結果」ということになる。
だが、これはある意味でとんでもない考え方である。「高校サッカー」が教育の一環であるなら、「勝つためには何でもする」というのは本末転倒の話だし、18歳以下の選手にとっての育成の場であるとするなら、勝利のために守備的な試合をしたり、ロングスローで勝負するような試合をすべきでないのは当然のことだ。








