■「フットボールはパッションだ」

 南米諸国でよく言われる言葉に「フットボールはパッションだ」というのがある。

 気持ちを抑制的に戦うラグビーと違って、アソシエーション式フットボール(サッカー)は発散的なスポーツだ。気持ちを前面に出して戦う楽しみ。これがなくては、フットボールではない。そして、「攻める」ことこそがパッションにつながるはずだ。

 いや、優れたDFなら守備に魅力を感じるだろうし、好守で相手の決定機を阻止したGKは血が沸き上がるような快感を感じることだろう。

 だが、DFやGKが守備でパッションを感じるためには、相手の強力な攻撃がなくてはならない。素晴らしい攻撃を体を張って阻止し、攻撃側のトリックを読み勝って阻止するからこそ、守備の選手たちは快感を感じることができるのだ。相手の攻撃が強ければ強いほどパッションの熱は上がる。

 観客はそんな選手たちのパッションを感じ取って自らの感情を高揚させる。そのために、彼らは暑いときも、寒いときも、雨の中でも高額の入場料を払ってスタンドに詰めかける。

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