■無理せずに攻めて「守り合う」試合
最近だったら9月23日のJ1リーグ第31節の柏レイソル対サンフレッチェ広島の試合だ(三協フロンテア柏スタジアム)。両チームが激しい攻撃を繰り返し、柏が10本、広島が17本のシュートを放ったが、守備陣が奮闘して得点を許さずスコアレスドローに終わった。
広島のミヒャエル・スキッベ監督は開口一番「Jリーグの中でもトップのゲーム」と自賛したが、僕もまったく同感だった。
だが、FC町田ゼルビアとFC東京の天皇杯準決勝は、ともに慎重さが先に立って決定機らしい決定機がほとんど生まれないまま90分が経過した。公式記録によれば、90分までのシュート数は町田が7本、FC東京が6本だった。どちらも10本に届いていない。
チャンスが生まれかけて、「そこだ、前線に縦パスを差せ!」と思った瞬間に、慎重な両チームの選手たちはバックパスを選択して、熱くなれるようなシーンが生まれないのだ。
「互いが激しく攻め合って、懸命に守り合う」そんな試合を期待したいのに、目の前で展開されているのは「慎重に、無理せずに攻めて、懸命に守り合う」そんな試合だった。いや、「懸命に」守る必要がほとんどないような時間も長かった。
前にも述べたように、勝つために守備的な戦いを選択することも必要だというのは理解できる。
だが、試合は「勝てばいい」ものなのだろうか?








