長谷部茂利監督にとって4得点よりも重要だった「4失点」、計8ゴールの「最高の試合」で繰り返された判断ミス【川崎VS柏戦が示した「横パス」の危険性】(1)の画像
柏レイソルと4-4の打ち合いを演じた川崎フロンターレだが、長谷部茂利監督は失点の多さを悔やんだ。撮影/中地拓也

 9月28日に行われた川崎フロンターレと柏レイソルの試合。そして同日に行われた川崎フロンターレ元監督の風間八宏氏が率いる南葛SCの試合。この2試合、そして、その他のJリーグの試合から、サッカージャーナリスト後藤健生が、改めて「パス」の意味を考える!

■何度も繰り返した「反省」という言葉

 9月最後の日曜日(28日)に行われたJ1リーグ第32節、川崎フロンターレ柏レイソルの試合は激しい点の取り合いとなり、最後は試合終了間際の90分に、柏の三丸拡が強烈なミドルシュートを叩き込んで追いつき、4対4の引き分けに終わった。

 柏は、5日前の第31節ではサンフレッチェ広島と対戦し、非常に強度の高い戦いをしてスコアレスドローに終わっている。「0対0」と「4対4」。スコアはまったく異なるが、どちらもエンターテインメント性十分の素晴らしい内容の試合だった。これだけの試合をしながら2試合で勝点を2ポイントしか獲得できなかったのは気の毒だった。

 さて、Uvanceとどろきスタジアムでの一戦は非常にスリリングで、見ている者にとっては最高の試合だった。だが、どうやら監督にとってはそうではなかったようだ。

 ホーム川崎の長谷部茂利監督は記者会見で「反省」という言葉を何度も繰り返した。監督にとっては「4得点したこと」より「4失点もしてしまったこと」のほうが重要だったのだ。とくに、組織的守備を重視する長谷部監督にとってはショッキングな4失点だったのだろう。

 たしかに、最後の三丸のシュートや2失点目のジエゴ(久保藤次郎らの負傷で急きょ、右サイドでプレーして出色の出来)のシュート(39分)などは、「あれを撃たれたら止めようがない」ものだったが、そもそも、フリーの状態でシュートを撃たせたから失点したのだ。3失点目の中川敦瑛のシュート(66分)もそうだ。

 川崎の守備はボールサイドに寄ってしまい、何度も逆サイドにフリーな選手をつくってしまった。

「連動してやらなきゃいけないことができなかった」と長谷部監督。

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