■名門アーセナル相手に残した「インパクト」
翌1968年にはメキシコ・オリンピックを前にイングランドの名門アーセナルとの対戦があった。国立競技場での第1戦。アーセナルは試合開始からわずか13秒で先制ゴールを決めて観衆の度肝を抜いたのだが、8分には日本が同点とする。
右サイドの渡辺正からのクロスに対して、ニアサイドに飛び込んだ釜本さんが相手DFとの競り合いに勝って、ダイビングヘッドを決めたのだ。試合はアーセナルが3対1で勝利したのだが、大きなインパクトを残したのは釜本さんのゴールだった。
もう一つ、僕が今でも鮮明に記憶しているのは1971年にトットナム・ホットスパーと対戦したときのヘディングシュートだ。
神戸での第1戦でのことだった。やはり、右サイドからのクロスを釜本さんがゴール正面で強烈なヘディング。「間違いなくゴール!」と思ったのだが、トッテナムの名GKパット・ジェニングス(北アイルランド代表)が横っ飛びに飛んで両手でボールをはじき出した。
まさに、ワールドクラスのストライカーとGKの勝負を見た気がした。










