■「PKでも点を取ってチームが勝つのが一番大事」

 こうした中、5月3日のアビスパ福岡戦では今季苦しんでいた加藤が初ゴールを挙げ、エース・ジャーメインも中村が奪ったPKで2点目をゲット。ようやく連敗を抜け出した。続く6日の湘南ベルマーレ戦も前節と同じように中村の電光石火の飛び出しからPKを誘い、開始6分に先制。虎の子の1点を最後まで守り切って、何とか1-0で逃げ切った。
「連戦で疲労もあったし、自分の出来が悪くてボールが足につかないところがあったんで、シュートがほとんど打てなかったですけど、PKでも点を取ってチームが勝つのが一番大事。PKだろうが数字が上がれば気分的にも全然変わってくると思いますし、数年経ったら、誰もそのゴールがPKだったかどうかを覚えていない。数字が増えていけばポジティブだし、ゴール前の精度とか余裕も生まれてくると思います」
 ジャーメインはこう前向きに語っていたが、本当にその通りに物事が運べば理想的。湘南戦では彼や加藤にボールがまともに渡らない時間も長かっただけに、組み立てや展開を工夫し、精度を高めていくことが肝要だろう。
 スキッベ体制で得点が取れていた広島を思い返すと、中盤のボランチ陣がしっかりボールを保持して、敵と駆け引きしながらサイドに展開し、そこからいいクロスが入ってFWが仕留めるという形が多かった。だが、湘南戦を見る限りだと、右ウイングバック(WB)の中野就斗、左WBの東峻希からいいボールが中央に供給されるシーンがあまり見られなかった。それだけ相手に押し込まれていたということだ。

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