■「ファーストプレーヤーを気持ちよく送り出すことができていた」

 昨年の12月7日、小畑は岡山市内で声を震わせていた。この日、ベガルタ仙台はJ1昇格を懸けてファジアーノ岡山と対戦した。サポーターがスタジアムに入りきれず、外からも声援を送るほどの熱量の中で仙台は奮闘したものの、敗戦。J1昇格の道のりは再びイチからとなった。
 小畑は試合に出られず、ベンチからピッチを見守った。とはいえ、大事な役割があった。試合後に話を聞いた中で、「GKは一つしかないポジションで、チームにはGKが今年4人います。4人にはいろんな役割があった中で、僕はセカンドキーパーに入ることが多かったですけど、自分のポジションを全うして、ファーストプレーヤーを気持ちよく送り出すことができていた。僕自身は試合に出れなくて悔しかったですけど、この悔しさを来年に繋げれば」と、悔しさと、そして、心の中で沸き立つものを明かしてくれた。先発した林彰洋が最大限の力を出せるように、ベンチで戦っていたのだ。
 ただし、今季はスターティングメンバーとしての役割がある。昨年までとは違った役割をこなすべく、そのために必要なことを突き詰めている。
 そんな小畑にとって、川崎戦はうれしい再会がある試合でもあった――。
(取材・文/中地拓也)
(後編へつづく)

(2)へ続く
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