
ミックスゾーンに踏み入れた足取りはけっして重くはなかったが、顔は下を向いていた。2025年2月26日のベスト電器スタジアム。アビスパ福岡のウエアを着た小畑裕馬は、責任を強く感じて、自らに矢印を向けていた。
小畑は今季、新たな挑戦に踏み切った。中学生時代から在籍していたベガルタ仙台を離れ、遠く、九州を新天地に選んだ。ベガルタ仙台のジュニアユースとユースを経て2020年にトップチーム入団。プロ1年目にJ1・7試合に出場するなど期待は高く、デビュー戦でも無失点勝利に貢献。2023年までは世代別日本代表にも選ばれていた。
22年はJ2で21試合を数えた出場試合数も、23年には「5」となり、24年はついに「0」に。その滞在能力を考えれば、J1からのオファーを受けるのは当然のことだった。
その福岡では今季ここまで3試合すべてにフル出場しており、個人としての力は見せている。しかし、チームとしての結果は伴っていない。ここまでの全試合で敗れており、J1の最下位に沈んでいる。
小畑にここまでの3試合について聞けば、「勝てていないので。この世界は結果がすべてですし、移籍してきて試合に出たから正解なのか、勝ってそれを正解にするのかやっぱり違います。それで3連敗っていうのは、このエンブレムを背負ってる以上、本当に責任を感じてます」と、福岡での責任感の強さを言葉にした。