■チーム刷新の鳥栖は小菊新監督の手腕に注目が
J1から降格してきたサガン鳥栖は、まったく新しいチームになった。
正GKだった朴一圭、昨シーズン14発のFWマルセロ・ヒアン、パリ五輪出場のCB木村誠二ら、20人以上が様々な事情でチームを離れた。開幕が2週間後に迫った2月上旬には、MF福田晃斗が双方合意のうえで契約解除となった。
新加入選手は19人を数える。
GKを含めたDFライン、中盤、前線にJ1でプレーしてきた選手、J2やJ3でプレータイムを刻んできた選手を補強している。22年、23年に在籍したMF西川潤、21年に8得点を記録したFW酒井宜福は復帰組だ。ヴィッセル神戸から期限付き移籍のMF櫻井辰徳は、徳島ヴォルティスと水戸ホーリーホックでJ2の戦いを経験している。ボランチのクリスティアーノ、190センチの大型FWジョーと、Jリーグ初挑戦のブラジル人も獲得している。
選手一人ひとりが力を出していけば、J1昇格争いに絡むことはできるだろう。チームを作り直しながら上位を目ざすだけに、小菊昭雄新監督のマネジメントはポイントになる。
後方からの巻き返しを期すのは、大分トリニータである。かつてJ3からJ1までチームを押し上げた片野坂知宏監督が昨シーズン復帰したものの、J1昇格争いに絡めず16位でシーズンを終えた。
オフには何人かの主力が国内外のクラブへ流出したが、元日本代表MF清武弘嗣が16シーズンぶりに復帰した。さらに、いわきFCで10得点を記録したFW有馬幸太郎が完全移籍で加入している。昨シーズンリーグワースト2位の33得点に終わった攻撃力の改善が、チーム浮上には必要だ。
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J1昇格争いにせよ、J2残留争いにせよ、ギリギリのところで守りきれるか、取りきれるのかが勝負を分ける。失点を防ぐ場面ではとりわけGKとCBが、取り切る場面ではストライカーの「個」の力が問われる。その意味で、得点源となる外国籍選手が揃って残留し、J2屈指のGK後藤雅明を獲得したV・ファーレン長崎は、J1昇格の最有力候補だ。
J2全20チームを見わたすと、得点源と見なされる選手が変わっているチームが少なくない。新戦力のFWが早い段階で結果を残すことが、各チームの明暗を分けることにつながっていく。