
■RB大宮アルディージャは試合を決められる「個」を獲得
今季のJ2リーグのJ1昇格候補として、V・ファーレン長崎、ベガルタ仙台、ジュビロ磐田、北海道コンサドーレ札幌の4チームに注目してきたが、その他のリーグの主役と成りうるチームを取り上げる。J3から1年で復帰したRB大宮アルディージャも、J1昇格争いを演じる可能性を秘める。
昨年夏にレッドブルグループの仲間入りを果たし、経営面からも注目を集めているが、長澤徹監督のもとで昨シーズンからチーム全体がJ2はもちろんJ1も意識したスタンダードで練習を積んできた。並行して戦力の充実をはかり、J3優勝に貢献したMF泉柊椰とFW杉本健勇が期限付き移籍から完全移籍へ移行した。
さらにJ1の京都サンガF.C.からMF谷内田哲平、FW豊川雄太、J1昇格の横浜FCからCBガブリエウ、FWカプリーニを獲得している。新加入の彼らが見せているクオリティは、J1レベルと言って差し支えない。カプリーニの左足のキック精度や豊川のシュートセンスは、チームを大いに助けることになりそうだ。
CB市原吏音が、開幕から不在となる。この将来有望な19歳は、U―20日本代表で主力を担っている。2月開催のAFC U―20アジアカップ中国2025に招集されており、最長でJ2開幕から3節まで不在となる。U-20日本代表が9月下旬開幕のFIFAU-20ワールドカップ出場を勝ち取れば、同大会期間中はもちろんそれ以前の強化合宿などでも、チームを離れることが予想される。
CBには新主将のガブリエウ、昨シーズン主力を担ったDF浦上仁騎とDF村上陽介、さらには経験豊富なDF濱田水輝、筑波大学で主将を務めたアカデミー出身の福井啓太らが揃う。人材の不足はない。副キャプテンを担う市原の不在を発奮材料とする雰囲気が、チーム内には満ちている。
J3優勝を飾った昨シーズンは守備でGK笠原昂史が、攻撃では杉本らがクオリティを見せつけ、勝点を引き寄せた。より高いレベルの競争へ挑む今シーズンも、「際の攻防」で勝負強さを見せることでJ1昇格争いに絡みたい。