■福岡は戦力も十分
福岡に関しては、クラブ初の2023年YBCルヴァンカップ制覇へと導いた長谷部監督が離れたことは一抹の不安もあるだろう。しかしながら、金明輝監督というのはかなりの手腕がある指揮官だ。
サガン鳥栖を率いた2020年と21年は13位と7位。特に21年は代表経験のある高橋秀人、金崎夢生(ヴェルスパ大分)、原輝綺(名古屋)、原川力らが一気に移籍。ユース上がりの若手を数多く引き上げた陣容で戦い、前半戦は黄金期の川崎を追走するほどのサプライズを見せたのだ。
その後、町田ゼルビアへ赴いてからも黒田剛監督の腹心としてチームを支え、J1昇格1年目でタイトルまであと一歩というところまで押し上げた。この躍進も彼が背後からうまく戦術浸透を図ったことが大きかったと言われている。
戦力を見ても、名古新太郎や見木友哉、秋野央樹、上島拓巳といった実績ある面々が加入。むしろベースアップした印象もある。金監督の鳥栖時代のパワハラ問題がいまだに尾を引いているようだが、指導者としての能力は確か。福岡は最終的に「いい判断をした」と言われる展開になるのではないか。
(取材・文/元川悦子)
(後編へつづく)