■行われた「2つの改正案」の試験試合

 しかし、その一方で、勝負が厳しくなる余り守備的になって得点数が減り、人気の先行きを懸念する声も高くなっていた。「保守的」なことで知られたFAも安閑としているわけにはいかなかった。そこで1925年3月30日月曜日の午後、アーセナルが所有するロンドンのハイベリー・スタジアムを使い、FAはひとつの「試験試合」を行った。この年のIFAB総会に向けてSFAが提案していた2つの「オフサイド改正案」のテストだった。

 前半45分間は、両ゴールラインから40ヤード(約36.6メートル)のところ、すなわちセンターサークルの端から7メートルほどゴール寄りのところにタッチラインからタッチラインまで線を引き、そこまではオフサイドはないというルールでのプレー。そして後半45分間は、もうひとつの案、「2人制オフサイド」でプレーさせたのである。

 FAはこのテスト結果を詳細に分析し、6月初旬の総会で討議した。オフサイドルールの改正を支持する理事たちは、ゲームの中断が減り、審判のミスが避けられ、見ていて面白いものになると主張した。一方で、攻撃側にあまりに有利になると反対する理事も少なくなかった。さらにレフェリーを代表する理事たちは、改正に強く反対した。それでも、最終的に、FAは「2人制オフサイド」を支持することを決めた。

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