■ジュビロ磐田の行方
広島も10日の浦和レッズ戦で0-3と大敗を喫しており、可能性はゼロとは言えないが、ミヒャエル・スキッベ監督も修正を図ってくるはず。ペトロヴィッチ監督の攻撃サッカーをもってしても、古巣を圧倒するのは非常に難しい。となれば、現実的には残留の可能性はかなり低いと言うしかない。
「J2に落ちたとしてもクラブをサポートしてほしい」とミシャ監督は9日の湘南ベルマーレ戦後にコメントしたというが、これは今季限りで退団する札幌に対して自身が発信できる最大限のメッセージだったのかもしれない。
2024年の札幌はシーズン開幕前にルーカス・フェルナンデス、田中駿汰(ともにセレッソ大阪)、福森晃斗(横浜FC)ら有力選手が移籍。夏にも金子拓郎(コルトレイク)が去り、チーム作りが困難を極めた。夏に加入した大崎玲央、パク・ミンギュは重要な戦力となったが、助っ人選手が不発。得点力アップが叶わなかったのも痛かった。
降格濃厚の札幌に比べると、磐田はまだ諦める必要はない。残り試合はJ1残留の決まった横浜F・マリノス、FC東京とJ2行きの決まった鳥栖で、いずれも磐田よりモチベーションの低い相手。そこも追い風だ。
直近の神戸、ガンバ戦での連敗はダメージが大きかったが、ガンバ戦では1-3の状況から一時、3-3まで追いつく粘りを見せた。同時刻に行われていた柏対新潟戦が、柏リードで進んでおり、そのまま終わっていたら、磐田は絶望的な状況に追い込まれていた。そこで最後の最後に新潟が追いついて勝ち点1を分け合ったことも、彼らが運を持っている証拠かもしれない。
今の磐田は夏に加入した渡邉りょうがガンバ戦で目の覚める先制ゴールを決め、同じタイミングで加わったジョルディ・クルークスもいい働きを見せるなど、攻撃陣は確実に上向いている印象だ。生え抜きの上原力也、鈴木海音らも意地の一発を決めるなど、「何としてもJ1に残りたい」という意識をチーム全体が鮮明にしている。それも前向きな要素と言っていい。