■ワールドカップで「3回」決勝戦に進出も…

 以来、これがオランダの「伝統」になってしまった。ワールドカップで3回も決勝戦に進出しながら、そのすべてで負けているのである。ドイツ(西ドイツも含む)は、4回という「決勝戦負け」の最多記録保持者だが、同時に優勝も4回ある(決勝戦進出計8回は、ブラジルの7回をしのぐ最多記録だ)。

「美しく戦うが負ける」オランダの伝統の唯一の例外が、1988年に西ドイツを舞台に行われたEUROだった。このときには、ルート・フリット、マルコ・ファンバステン、フランク・ライカールトを中心としたチームで決勝戦ではソ連に2-0で勝ち、現在のところ、この国の唯一のメジャータイトルとなっている。

「攻撃的で、美しく、魅力的なサッカーもけっこうだが、そろそろ次のタイトルが欲しいぞ。フェアプレーなんてくそ食らえ! 少しぐらい汚くても、勝負に徹しようじゃないか」

 サポーターのそんな気持ちが、Tシャツの背中の文字ににじみ出ていたのである。

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