■徳島、山形に経験豊富なMFが加わった

 5位のレノファ山口FC、6位のベガルタ仙台を勝点2差で追う7位のジェフユナイテッド千葉は、DF山越康平、DF小川大貴、MF杉山直宏を獲得している。

 J1の東京ヴェルディから加入の山越は、CB鈴木大輔の負傷離脱を埋める存在だ。CBを定位置としてきたが、東京Vでは4バックのSBでも起用された。DFラインの複数ポジションに対応できる山越をベンチに置けば、攻撃的な交代カードを増やせるというメリットもある。

 ジュビロ磐田で11シーズン目を迎えていた32歳の小川は、左右両サイドに対応できる。千葉の4バックは右が高橋壱晟、左は日高大がファーストチョイスとなっているが、小川の加入でバックアップ態勢が充実した。高橋が出場停止だった24節のロアッソ熊本戦では、早速右サイドバックでフル出場している。

 さらに、MF杉山がスカッド入りした。22年のJ2で4位に食い込んだ熊本で飛躍のきっかけをつかみ、23年にJ1のガンバ大阪へステップアップした。今シーズンはJ2のモンテディオ山形へ期限付き移籍していたが、十分なプレータイムを得ていなかった。右サイドからのカットインを得意とするレフティが熊本在籍時の輝きを取り戻せば、千葉の攻撃はさらに充実したものとなる。

 J1昇格プレーオフ圏と勝点6差で10位の徳島ヴォルティスは、20年のJ1昇格に貢献したMF岩尾憲浦和レッズから電撃復帰した。岩尾は24節の仙台戦でスタメンに名を連ね、ゲームコントローラーとして2対0の勝利に貢献している。

 さらにJ1のジュビロ磐田から、MF鹿沼直生を完全移籍で獲得している。20年のSC相模原のJ3からJ2への昇格に貢献し、磐田へ引き抜かれた彼は、活動量豊富にピッチをカバーする。ボランチには岩尾や永木亮太らの経験者が揃うが、チームの出力をさらにあげる存在として出場機会をつかみそうだ。

 13位の山形にも、実績十分の経験者が加わった。MF土居聖真である。今シーズンの鹿島ではメンバー外も多く、32歳のMFは出身地の山形のクラブで再びキャリアを輝かせる決断を下した。

 山形は4-2-1―3のシステムを基本としており、渡邉晋監督はどのポジションで土居を起用するのか。勝ち切れないチームにおいては、鹿島で培われた「勝者のメンタリティ」も頼もしいはずだ。

 夏の移籍市場でのステップアップとしては、GK圍謙太朗に触れるべきだろう。ブラウブリッツ秋田の絶対的守護神が、J1の京都サンガF.C.へ引き抜かれたのだ。新天地では韓国人GKク・ソンユンの控えからのスタートとなる。

 また、熊本のFW道脇豊がベルギー2部のベフェレンへ期限付き移籍する。高校3年生の彼はクラブ史上最年少の16歳でプロ契約を結び、昨年のU-17ワールドカップに出場した。今シーズンはここまで9試合に出場し、1得点を記録していた。来年6月末までの契約期間で、どこまでスケールアップできるか。

 夏の第2登録期間は、8月21日まで開いている。ライバルの補強をにらみつつ、各チームはギリギリまで動いていくのだろう。

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