■「相手が慌てて取りにくる分、かわせるかな、という感覚」

 迎えた79分。勝ち越しゴールが生まれる。DF大南拓磨が敵陣へ攻め込み、ペナルティーエリア内の右角に侵入した瀬古へ縦パスを通す。トラップした瀬古は、逆サイドをフリーで駆けあがってきたFWマルシーニョへのパスを選択する。

 マルシーニョがダイレクトで右足を合わせる姿を視界に入れながら、脇坂は「勝手に体が反応していました」と、ゴール前へ詰めていった自身の動きを振り返る。

「ただ、セガちゃん(瀬川)も反応していたので、そこでガチャガチャとならないように。セガちゃんが先に反応した分、その後をバックアップしようと」

 マルシーニョのシュートをキャッチしたかにみえた、柏のGK松本健太からボールがこぼれる。すかさず瀬川が詰めるも、強烈なシュートは松本の下腹部を急襲。松本がうずくまるなかで、こぼれ球を拾った脇坂は心憎いほど冷静沈着だった。

「あそこで勢いをつけて蹴ってしまうと多分、相手に当たって入っていなかったと思う。相手が慌てて取りにくる分、かわせるかな、という感覚があったので。かわしてからすぐに打つ、という感じで落ち着いてやれたのがよかったですね」

 ひと呼吸おいてから、コントロールを重視しながら左足を優しく振り抜く。カバーに入ってきた柏のMF戸嶋祥郎とDF犬飼智也、そしてシュートを放った後の瀬川の間をすり抜けていったシュートが、ゆっくりと柏ゴールに吸い込まれた。

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