■チームに「求められる」イノベーション
サッカーはイマジネーションのゲームである。どんなに精度の高いパスワーク、どんなにスピードのある攻撃でも、守る相手側の選手たちが、あらかじめそのイメージを持って対応できれば、なんとかしのぐことができる。そうやって横浜FMや川崎が得点できないうちに、相手チームは横浜FMや川崎の「前がかり」の逆をつき、ゴールを奪ってしまう…。そうした試合が繰り返されたのが、Jリーグ2024シーズンの前半戦だった。
「イノベーション」というのは、経済や産業で使われるようになった言葉であり、「技術革新」「新機軸」などと訳されている。「ノブス(新しい)」という意味のラテン語から発生した言葉であるという。それまでどおりに続けるのではなく、新しいものを常に考え、加えていくことによって、成長をもたらそうという考え方であると、私は解釈している。
どのチームも、毎シーズン、「イノベーション」を試み、チームのバージョンアップや新しい方向性でより良い成績を成し遂げようと努力している。もちろん成功することだけでなく、失敗に終わるケースもあるが、サッカーのチームというものは、常にイノベーションにトライしていかなければならない運命にある。