今季のJリーグもシーズンを折り返した。さまざまな変化が見られる中、気になるのが横浜F・マリノスと川崎フロンターレの不調である。近年のJ1を席巻してきた2強は、なぜ急激に勢いを失ったのか。サッカージャーナリスト大住良之が考察する。
■「変化する」ライバルと「変わらない」2強
ヴィッセル神戸は堅固なチームを築き、FC町田ゼルビアは独自のスタイルで首位に立ち続けている。さらに今シーズン、町田の首位を脅かす地位にいる2チーム、鹿島アントラーズとガンバ大阪も、昨年までとは違うサッカーで勝点を積み重ねている。
鹿島はJリーグが始まった頃から貫いてきた「ブラジル・スタイル」から「欧州スタイル」への転換を図る中、タイトルが遠ざかっていたが、今季ランコ・ポポヴィッチ監督が就任、若い選手を積極的に起用した、攻守にアグレッシブなサッカーで完全に息を吹き返した。
G大阪は、ここ数年間、残留争いをするような状況だったが、就任2シーズン目のダニエル・ポヤトス監督が守備を整備し、エースの天才選手・宇佐美貴史が彼のキャリアでも最高に近いプレーを見せるようになって勝ち点を伸ばした。20試合で14失点(最少記録)が、G大阪の変貌を物語っている。
それに対し、横浜FMと川崎は、「2強時代」とほとんどイメージの変わらない試合を見せているように感じる。もちろん選手は変わっているのだが、攻撃でも守備でも、選手たちの判断やアイデアが「2強時代」そのもののサッカーしかできていないのだ。