■リーグ最少失点の浦和が過去にない補強
そうした中、大きな注目を集めているのが浦和レッズだ。昨年チームを率いて高い評価を得たマチェイ・スコルジャ監督(ポーランド)が1シーズンで帰国してしまうというショックがあったものの、代わって経験豊富なノルウェー人のペア=マティアス・ヘグモ監督の招へいに成功、過去にない大胆な補強も敢行した。
昨年の主力からは、左サイドのDF/FWとして活躍した明本考浩がベルギーに移籍し、FWホセ・カンテが引退するというマイナス材料があるが、プラス材料の新加入選手がそれに増して大きい。
FWには清水から移籍したブラジル人のチアゴ・サンタナを獲得、課題とされてきたサイドアタッカーには、右にノルウェー代表のオラ・ソルバッケンと前田直輝(名古屋グランパスから移籍)、左FWには1年間ベルギーに期限付き移籍していた松尾佑介が復帰した。昨年半ばに移籍し、コンディションが整わなかったMF中島翔哉とMF安部裕葵も復調し、一挙に層が厚くなった。
昨年ケガ人続出で悩まされたサイドバックには、湘南ベルマーレからどのポジションもできる石原広教を補強、FC岐阜から宇賀神友弥が戻り、FC東京から移籍したMF渡邉凌磨を左サイドバックで試すなど、強化が図られている。ボランチにもスウェーデン代表MFサミュエル・グスタフソンが加わり、昨年リーグ最少失点を記録したGK西川周作とCBアレクサンダー・ショルツ、マリウス・ホイブラーテンの「トライアングル」は健在。攻撃が強化されたことにより、優勝候補の筆頭に挙げる人も多い。
特に注目されるのはCFを務めることになると期待されるチアゴ・サンタナだ。2021年に来日して清水エスパルスに加わり、2022年にはチームがJ2降格したものの14ゴールを挙げ、J1得点王に輝いている。184センチの長身、万能型のCFで、得点だけでなくポストプレー、アシストでも高い能力を見せる。浦和にとっては、2017年に活躍したラファエル・シルバ以来の「本格的9番」だ。