■連覇を狙う神戸が抱える大問題
昨年、念願の初優勝を飾った神戸も、戦力はさらに充実している。主力をほぼ残留させ、新たにMF井手口陽介を獲得した。神戸が進める「Uターン選手ポリシー」ともいうべきもので、セルティック所属だった井手口は昨年、アビスパ福岡に期限付き移籍してプレーし、ルヴァンカップ優勝に貢献、今季セルティックから完全移籍で神戸に加入した。
井手口の加入で、昨年、得点王とともにリーグMVPとなったFW大迫勇也のほか、FW武藤嘉紀、MF山口蛍、MF斉藤未月、DF酒井高徳に加え、神戸は6人もの「元欧州組」を並べることになった。彼らの経験と試合運びのうまさは、今季も神戸の大きなバックボーンとなるだろう。
ただ今季の神戸には大きな懸念がある。ACLである。昨年からシーズン制が変わり、9月にスタートし、年内にグループステージの6節をこなさなければならない。昨年も、ACLに出場した横浜FMと浦和は、夏まで首位に絡む戦いをしながらリーグ終盤、難しい戦いを余儀なくされた。リーグ優勝の可能性がなかった川崎はACLに集中できたが、天皇杯優勝チームの資格でJ2ながら出場していたヴァンフォーレ甲府はJ1昇格プレーオフ圏を逃した。
浦和を優勝候補に挙げる人が多いのも、ひとつには今年はACLとは無関係で、しかも昨年のサポーターの事件で天皇杯の出場資格を失ったため、Jリーグとルヴァンカップの2大会だけに集中できる状況にあるからだ。年間60試合を戦った昨年は、試合と試合の間にきちんとトレーニングすることができず、回復と戦術確認だけで費やされていた状況だっただけに、今季の日程は大きなアドバンテージと言える。