■「チーム全体で乗り切って最後に……」
常勝軍団と呼ばれながら、タイトル数が「20」でとどまったままになって久しい。特に国内三大タイトルに限れば、J1リーグと天皇杯の二冠を制覇した2016シーズンを最後に、実に7シーズンも続けて無冠に甘んじている。
昨シーズンもYBCルヴァンカップは準々決勝で名古屋グランパスに、天皇杯は3回戦でJ2のヴァンフォーレ甲府にPK戦の末にそれぞれ敗れた。J1リーグでは必死に上位陣に食らいつくも、終盤戦で息切れして5位に終わっている。最終節から一夜明けた12月4日には、岩政大樹前監督が電撃退任している。
「ここ数シーズン、本当にうまくいっていない。今シーズンのリーグ戦も全部勝って優勝、というわけにもいかない。難しい時期は必ず来ると思っているので、チーム全体で乗り切って最後に……最終的に勝てていればいいなと思います」
2016シーズンの二冠を知る数少ない一人になった鈴木は、鹿島が置かれた現状に歯痒さを募らせる。ただ、同時に新シーズンへ向けてこんな言葉も残している。
「何かやっと始まったな、という感じですね。本当に楽しみにしていたので」
チームがオフの真っ只中だった昨年12月21日に就任が発表された、ポポヴィッチ新監督のもとで気持ちも新たにタイトル奪還を目指す新シーズンへ。鈴木はプロになって初めてと言っていいアプローチとともに始動日を迎えていた。
(取材・文/藤江直人)
(後編に続く)