何が起こったのかと思った鈴木優磨が慌てて振り返ると、初めて顔を合わせたばかりのランコ・ポポヴィッチ新監督が目の前にいた。しかも、まるで旧知の間柄のように、指揮官は人懐こい笑顔を浮かべながら抱きついてくる。
新体制の鹿島アントラーズが始動した1月9日。初練習を前にして、茨城県鹿嶋市内の練習場のピッチ上で首脳陣、スタッフ、そして選手たちが大きな輪を形成。ポポヴィッチ監督が初めて言葉を投げかけ、輪が解けた直後のひとコマだ。
大分トリニータを皮切りにFC町田ゼルビア、FC東京、セレッソ大阪、そして2度目の町田を率いた経験を持つセルビア出身の指揮官は、鈴木だけでなく松村優太、新加入選手のギリェルメ・パレジらにも同じようにアプローチしていった。
「エネルギッシュな人っすね。モチベーションにあふれていると思いました」
今シーズンから鹿島の指揮を執るポポヴィッチ監督への第一印象をこう語った鈴木は、練習後にも輪が作られたなかで伝えられたメッセージの一部を明かした。
「みんなで勝利を目指していこう、という話と、あとは楽しまなければ結果は得られない、という話をされていました。熱い監督だな、と思いました」