【J1昇格プレーオフに挑むJ2・4クラブ考察(1)】得点数は最小も勝負強いチームにモデルチェンジした東京ヴェルディ、得失点差+44とタレント力は随一の清水エスパルスの画像
清水エスパルスの乾貴士 撮影:中地拓也

 11月12日に行われたJ2最終節の結果により、すでに優勝とJ1昇格を決めていたFC町田ゼルビアに続き、栃木SCと対戦したジュビロ磐田が自動昇格を決めて、昇格プレーオフは東京ヴェルディ清水エスパルスモンテディオ山形ジェフユナイテッド千葉の4クラブで争われることになった。

 東京ヴェルディは最終節で大宮アルディージャに2−0の勝利。惜しくも自動昇格は逃したが、3位という最も有利なポジションで16年ぶりのJ1を目指す。城福浩監督が2年目となるヴェルディは従来のテクニカルなスタイルに気鋭の指揮官が、コンパクトな3ラインをベースに素早い攻守の切り替えやカウンターなど、強度の高いサッカーを植え付けて、うまいだけではなく勝負強いチームにモデルチェンジした。

 夏の移籍で主力のバスケス・バイロンを町田に引き抜かれたが、代わりにセレッソ大阪から加入した中原輝がブレイク。第33節の栃木戦では一人少ない状況で、終盤に直接FKを決めて、チームウィ劇的な勝利に導いた。22歳のFW染野唯月は鹿島からの育成方期限付き移籍だが、昨年に続く二度目の加入であり、後半戦だけで6得点をあげるなど、エースとしてチームを牽引している。ただ、誰か一人の得点力に頼るチームではなく、2列目ながら4得点の齋藤功佑なども流れの中で、危険なフィニッシャーになりうる。

 ヴェルディの軸となるのはアカデミー育ちの森田晃樹と成長著しい稲見哲行の2ボランチだ。森田は長短のパスでリズムを作りながらバランスを整え、稲見は高いボール奪取力と盾の持ち上がり、鋭いミドルシュートなどで違いを生むことができる。そうした選手たちを城福監督はうまくまとめながら、効果的な選手交代を打つことができる。得点数は4クラブで最も少ないが、接戦になるほど勝負強さを発揮できるチームであり、90分ドローでも勝ち上がれるレギュレーションを考えれば、かなり有利であることは間違いない。

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