■グループ突破が見えてきた甲府

 甲府はアタッキングサードでのパス精度を欠いたため、なかなか得点機を作れないまま時間が経過した。ワントップで先発したピーター・ウタカもすでに39歳で、かつてのような破壊力は影をひそめていた。

 こうして、スコアレスドローも見えてきた中で甲府はブリーラムの選手たちの足が止まったのを見極め、クリスティアーノ長谷川元希といった攻撃力のある選手を投入していく。そして、ついに終了間際にクリスティアーノのクロスを長谷川がヘディングで決めて劇的な勝利を収めたのだ。

 ちなみに、甲府は初戦でメルボルン・シティとのアウェーゲームに引き分けており、グループステージ突破の可能性もかなり大きくなった。というのは、甲府が所属するグループHには、日本の最大のライバル韓国のクラブが不在なのだ。

 いずれにしても、「選手層」も含めてJ2中位の甲府はタイ最強クラブを上回ったのである。つまり、甲府の勝利は日本サッカー全体の底上げによる勝利ということができる。

(4)へ続く
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