どんな競技であれ、対戦する両者の間には戦力の優劣がつきものだ。だが、時にはその戦力差が、違う意味を持つことがある。日本サッカーを取り巻く「非対称戦」をサッカージャーナリスト・後藤健生がつづる。
■寄せ集めチームの大健闘
アジア大会の女子サッカー競技では日本が優勝を遂げた。
こちらも「非対称戦」だった。
8月の女子ワールドカップで素晴らしい内容のサッカーを見せてベストエイト入りした日本代表だったが、アジア大会には来年のU-20女子ワールドカップを目指す19歳以下の選手も含む、代表経験の少ない選手によるチームを参加させた。
主力組は10月に開催されるパリ・オリンピック2次予選を目指して調整を行い、アジア大会と同時期にアルゼンチン女子代表と強化試合を行った。そのため、杭州で戦ったチームは「なでしこジャパン」の愛称は使用せず、「第19回アジア競技大会日本女子代表」の名称で戦った。
だが、女子の“寄せ集めチーム”もグループリーグから準々決勝まで全試合で大量得点を奪って準決勝に進出すると、地元開催で優勝を目指していた中国に4対3で競り勝ち(前半4対1でリードした後、後半追い上げられた)、決勝戦でもパワーのある北朝鮮相手に苦戦はしたものの、後半に3連続ゴールを奪って4対1と圧勝して見せた。決勝までの6試合で39得点を奪ったことになる。
北朝鮮戦では、前後半とも立ち上がりは相手のパワーに押し込まれたものの、時間の経過とともに相手の足が止まり、その後は日本の技術戦術が大きく上回った。韓国や北朝鮮と対戦する時には、昔からよく見られるパターンの試合展開だった。