プレミアリーグ開幕から2試合目にして、今季初となる4人抜きの華麗なスーパーゴールを決めた三笘薫。相手陣地を切り裂き、世界を沸かせ続ける彼の代名詞“ドリブル”の秘密は、川崎フロンターレ時代の独自練習法にあったという。
7万5000部のベストセラーとなっている初の著書『VISION 夢を叶える逆算思考』にも、その練習法は克明に書かれている。
そんな彼の原点に迫るべく、川崎フロンターレで監督を務めた風間八宏氏にインタビューを敢行。現在は、セレッソ大阪にて育成年代の指導にあたる名指導者は、当時を振り返り何を語るのか――。
必読の全4回!
――まずは、川崎フロンターレユースに携わった経緯を教えてください。
私が川崎フロンターレの監督に就任した際に、当時強化本部長だった庄司春男さんや、フロンターレ前会長の武田信平さんらとともに話し合ったのが、いかに自分たちのチームで選手を育てるかでした。当時のフロンターレは、他チームと比べて競争力が強いわけではなく、ユースとプロのつながりもなかったので、育成面の改革が必要不可欠だったんです。そのため、監督就任の1年目からユースの合宿に顔を出して、目についた選手をプロの練習に呼んだり、試合をさせたりしながら、彼らを指導するようになりました。
そんな経緯で、ユースのほうの改革に乗り出したんですが、まず最初に取りかかったのが、指導者たちに「止める」「蹴る」という概念を伝えること。当時在籍していた50人弱の指導者の全員にレクチャーしましたね。のちのち、それがチームの方針として根づき、脇坂泰斗選手や三好康児選手、板倉滉選手、田中碧選手、そして三笘薫選手といった選手たちが、その指導法で育っていったんです。