■素晴らしかったサイド攻撃
ザンビア戦で素晴らしかったのは、サイド攻撃だった。
ストッパーからウィングバックにボールが送られ、セントラルMFがサポートし、シャドーストライカーとの連係でサイドを崩してクロスを入れる形だ。
昨年の夏に、池田太監督は日本女子代表としては初めてスリーバックに切り替えた。当初はぎくしゃくした印象を受けたが、試合経験を重ね、2023年に入ってからはスリーバック(3-4-2-1)が機能し始めた。
ザンビア戦でも、序盤戦では2分にボランチの長谷川唯がペナルティーエリア奥まで走り込んだり、6分には縦につないで田中美南がシュートを放ったり、縦に攻める形を使ったが、その後はサイド攻撃を徹底した。
21分にFKから田中が決めたものの、VARが介入してゴールが取り消された場面があったが、そのFKもタッチライン沿いで藤野あおばがドリブルで仕掛けたことによって獲得したものだった。
ちなみに、この場面、映像で見るとたしかに遠藤純がFKを蹴った瞬間に田中はオフサイドの位置にいたが、あのオフサイドはVARがなかったら絶対に取られることはないオフサイドだっただろう(その後の2回のVARによるオフサイド判定は、VARがなくても間違いなくオフサイドだったが……)。
そして、43分に生まれた先制ゴールもサイド攻撃からのものだった。
タッチライン沿いでウィングバックの清水梨紗が長谷川につないだ瞬間、タッチライン際にポジションを取った藤野がボールを要求。長谷川がバックスピンをかけたボールを送ると、藤野が左足アウトサイドを使ってワンタッチでコントロール。ボールのスピードを殺さずに前に運んで、完璧なクロスを入れる。そして、ボールがバウンドするところを宮澤ひなたが正確にとらえて決めた。
ウィングバックとシャドーの選手が、タッチライン際と内側のラインを使い分け、そこにセントラルMFがサポートして崩す場面が何度も見られたが、この先制ゴールはそれが見事に噛み合った形だった。