■無謀なクラウドファンディング
2011年当時に比べれば、日本の女子サッカーのレベルは間違いなく上がっている。
当時は、なでしこリーグ1部でも下位チームは内容に乏しい、とても入場料金を取るべきレベルにないようなサッカーをしていた。だが、今ではWEリーグだけでなく、アマチュアリーグとして存続した「なでしこリーグ」でも、それなりのサッカーをするチームが増えている。
とくに、WEリーグの上位3チーム。三菱重工浦和レッズレディース、日テレ・東京ヴェルディベレーザ、INAC神戸レオネッサの3チームはハイレベルの戦いを見せており、またテクニックのベレーザ、スピードとパワーの浦和、守備とカウンターを磨いたI神戸と、それぞれ特長のあるサッカーを作り上げてもいる。来シーズンからは、そこに若手育成に定評のあるセレッソ大阪堺レディースが参入する。
代表チームの活躍で一般ファンの目を向けることができれば、WEリーグの観客動員が上向く可能性は大きい。
だが、代表チームがどんなに頑張っても、テレビ放映、とくに地上波での放映がないと、とくに女子サッカーに関心を持つ層以外にアピールすることができなくなってしまう。
WEリーグが「クラウドファンディングによってテレビ放映を実現したい」と考えるのは当然と言えば当然のことだ。
だが、「手遅れ」としか言いようがない。大会開幕まで1か月を切っているのだ。しかも、必要な資金は100万円程度ではない。10億円単位でのせめぎ合いが行われているのである。今からクラウドファンディングを立ち上げて解決できる問題ではないだろう。