■他人事の対応をするJFA
日本サッカー協会(JFA)は、どうして動かない(動かなかった)のだろうか?
JFAの基本的な立場は「FIFAとテレビ局の間の問題だ」というものだ。しかし、そんな他人事の対応でよいのであろうか?
JFAは、この問題について早い時期から知りうる立場にあったはずだ。
日本の放送局側に対して積極的に働きかけて、必要であればJFAとして資金協力をすることもできただろうし、日本の女子サッカーの現状についてFIFAに対して説明し、放映権料の引き下げを説得することもできたはずだ。
そもそも、JFAの田嶋幸三会長は女子サッカーの振興を重要課題として掲げていたはずだ。WEリーグの発足についても、田嶋会長は積極的だったと聞く。
そして、JFAはWEリーグの発足と同時に、2023年の(つまり、今回の)女子ワールドカップの日本開催を目指していた。
そして、日本は最終段階でのFIFAからの評価では上位に位置していたにもかかわらず、アジア・サッカー連盟(AFC)がオーストラリア・ニュージーランド共同開催支持に傾いたため、2020年6月の最終投票直前に辞退に追い込まれてしまった。「2021年の東京オリンピック開催から時間が経っていないこと」などが理由だったが、東京大会が2020年に開催されることは事前にわかっていながら、当初は2019年大会開催を計画し、後に2023年大会に正式立候補したのだ。
実際には、招致争いでの票固めに失敗したことが撤退の本当の原因だった。
初のプロリーグ(WEリーグ)の発足。そして、ワールドカップの開催。この2つを両輪のようにして、JFAは女子サッカーの振興を目指す目論見だったのだろうが、ワールドカップ開催は実現できず、そしてWEリーグの観客動員は低迷を続けている。